北海道/札幌でのヘアサロンのプロジェクト。
札幌は近年開発が進み、東京やその他の都市と変わらない近-現代的ビルが乱立してきている。しかし、街を歩くとレンガタイルのビルや舗装などが多く現れ、設計対象のビルも外装はレンガタイルで、サロンの窓からも近隣のビルのレンガが見え、札幌の都市の中に位置することを強く感じる場所であった。
そこで、テナントの内装であったとしても、その都市の歴史/産業/文化の片鱗のようなものをマテリアルとして取り入れ、その上で、それらが表現的になりすぎないように注意をしながら、調和の取れたデザインができないかと考えていく。
対象のヘアサロンBROOK.はすでに10年間の運用を経ており、既存のレイアウトを変えず、使い勝手を改善することを中心としたリニューアルであった。そのため、壁面のレタッチと什器のデザインのみとしつつ、その上で、北海道で焼かれているレンガタイル、肌触りの良い左官材、対比的に冷たさを感じる金属を配し、設計を詰めていく。
また、BROOK.には様々な年代・性別の方が通われていて、子供連れでサロンにいらっしゃる方が印象的であった。子供の施術の連れ添いとして鏡のすぐ近くのレンガのベンチに座り、窓から見える都市のなかに同じマテリアルを感じる。そのような光景を想像しながら、ベンチだけでなく、施術用の什器・玄関・施術後のケアスペースをバランスよく配置し、大きなレイアウト変更をしない中で、今までの店舗の印象を刷新していく。
今回依頼を頂いた、BROOK.のみなさんは、優しく気さくで、それでいて、それぞれに雰囲気があって、そんな人達が10年間あたためてきたサロンを過度にコマーシャルな姿としてのリニューアルを避けて、ニュートラルでありながら、この先の10年20年を見据えた特定のテイストとならない姿を目指した。
札幌の都市がこれからも変わる中で、長く続いてきた札幌での経験の一部として溶け込んでいくようなサロンになると嬉しい。
———The English text is under preparation.